ゲーム「うたわれるもの 二人の白皇」

utaware2

「時間外労働手当を要求するね。」

うたわれるもの三部作、無事完結!文句なしの完結!!

いや、公式は三部作とは言っていますが、実質
・1作目(移植版:散りゆくものへの子守唄)=1
・偽りの仮面=2(前編)
・二人の白皇=2(後編)
じゃないのかと小一時間。

10年以上ブランクが空いてようやく出た『偽りの仮面』が良いところで途切れてしまっており、大丈夫?これ無事終わるの??という疑心暗鬼に苛まれたのは否定できない。
でも大丈夫でした!!お見それしました!!

ということで、以下ネタバレ全開で。

 

 

 

シナリオと戦闘パートの配分が改善

トゥスクル侵攻宣言までダラダラと日常パートが続いていた印象のあった前作『偽りの仮面』に比べ、今回は緊迫した状況が多いこともあり、バランスの良いパート配分だったと思います。

特に前半のエンナカムイ籠城と諸国巡りは、ストーリー上では状況の打破という重要な役割を持ちつつ、各地に縁のある仲間たちのキャラクター掘り下げも行っており、これまで成り行きで寄せ集まった仲間たちの印象を上手く払拭していたと思います。
いい女がいい女してたり、アトゥイの惚れっぽさが一途さに変わったり。
あと、ヤクトワルトの回想で出た剣の師匠はおそらくゲンジマルだと思いますが、あんな形で出番があるとは意外だった。

戦闘パートが改善

各キャラクターの個性付けが更に際立ち、それぞれに適した動かし方を意識できるバランスになっていたと思います。
また段階的に解放される”ムネチカの試練”により、プレイヤーがZOCや気力管理などに意識が向くようにしてくれたのは、良いアシストで助かりました。
正直、前作は適当に動かして痛い目にあうパターンが多かった…。

また、早めにユニットが一揃い集まるのも大きかったと思います。
属性を意識しながら状況に対処していくという戦略性を楽しみながら、比較的ストレス少なく物語を進められました。

そして”協撃必殺”。うたわれはこれがなくっちゃ。
きっちりラストバトルの特殊演出も入れてくれて、「これだよこれ!!これを待ってたんだ!!」という想いでいっぱいでした、感謝しか無い。

ストーリー面について(1)
〜偽りの仮面の苦悩〜

オシュトルを演じなくてはならなくなったハクと、共犯と言えるネコネの苦悩が実に切ない。
ある意味「偽りの仮面における戦犯」と捉えられていた節のあるネコネですが、あの病み方を見て責めることができるだろうか。(反語)

ヤマトに喧嘩ふっかける気満々だったクオンが、オシュトルの正体に早々に気づいて帰ってきたのは少々拍子抜けだったのですが、仲間たちの士気を高め、ネコネの病みっぷりを緩和させるきっかけになったことを考えると、結果的に救いのある展開につながってくれて良かったです。
『偽りの仮面』プレイ後は、オシュトル軍VSクオン率いる前作勢で正面衝突の戦争になるのかと…とはいえこのシチュエーションは、思いもよらぬ形で実現することになったのですが。
ムックル強すぎ、そして原作再現とはいえエルルゥ攻撃手段なし

ハクが”オシュトル”として仲間たちと打ち解けたという意味でも、クオンVSアンジュはターニングポイントと言えますね。
内面的にはハクでありオシュトルである、という絶妙なバランスのまま進んで行くだけに、ウォシス戦後の別れの言葉は重い、泣いた

”オシュトル”を貫かざるを得なかったが故に重みが増したシーンも幾つか。
ひとつはオシュトル母に正体がバレるシーン。
目が不自由とは言っても実の母相手に隠し通せるわけがなく、当然の帰結とも言えるのですが、ネコネ同様「もう一人の家族」としてハクを受け入れるという選択に涙。
その様子を目撃したルルティエが、その後いつも通りを努めるのも良いです。
でもつい名前を呼んでしまうのも凄く良いです、切ねえ。

そしてマロロ…マロ…ずるいわあんなん
いつもの化粧が歌舞伎調に変貌しておりオープニングでは「どうしたマロw」だったけど、ハクを失った心の隙間を洗脳で埋められており実際のところ「どうすんだこれ…」と言う絶望感。
立場上、易々と自ら正体を明かすわけにはいかない上に、洗脳の影響もあってミカヅチみたいに察してくれないし。
それだけに最後にサコンと共に現れるシーンは実に良い、長い長い戦いの果てに、ようやくいつも通りの友と再会できただけに、ハクも「もう少しやったるか」と言う気分になろうもんでしょう。
時間外労働手当は、友との逢瀬で前払い。

ストーリ面について(2)
〜帰ってきた愉快なトゥスクル家〜

ヤマトに住み着いてたカルラ・トウカ、クオン恋しさで使者として現れたアルルゥ・カミュ、敵として大暴れしたベナウィ・クロウ、こっそりヤマトに潜入してたオボロ・ドリィ・グラァ。
面子としては『偽りの仮面』の時点でそれなりに揃ってたわけですが、今回クオンの里帰りと女皇という立場がクローズアップされたことで、トゥスクル内部の現状が大分はっきりしましたね、割といつも通りでしたこの人たち
まさかのムント登場には吹いた。姫封印て

フミルィルもすっかりトゥスクル一家の一人になっているというのは感慨深い…。
というか事前情報も目にしてたはずなのに、ウルトリィとフミルィルの再会シーンでようやく、1作目でウルトリィが世話をしていた赤ん坊だったことを思い出した。
今思い返せば初報で反応していたのにw
そのウルトリィは前作姿を見せなかったうちの一人ですが、彼女はオンカミヤムカイのトップなわけで簡単には動ける立場では無いので無理もないか。

そして初代ヒロイン・エルルゥ、初代主人公ハクオロ(の思念)の満を持して登場。
出てくれてよかった、やはりこの二人がいないと。
まさかハクオロさん意思疎通可能とは思わなかった、アニメ版ラストでエルルゥが振り向いたシーンとか普通に再会してた可能性。
エピローグのハクのように意外とふらふらしてたんじゃなかろうかハクオロさん。
とは言え肉体は封じられたままな上、クオンがウィツァルネミテアの血に呼びかけられるのを防ぐためエルルゥが封印を強めたという事情がある以上、ハクと対面した時点では大封印の社に意識を現すので精一杯な感じ。

クオンとハクオロとの関係性については不透明なまま終わってしまったのが少し残念ですが、ハクオロさんの台詞から察するに、親子としての関係はきっとこれからなのでしょう。

ストーリー面について(3)
〜旧人類の呪いと祈り〜

個人的に”現在の文明が廃退した後の世界”という設定が好きだというのも『うたわれるもの』という作品に惹かれている理由の一つで、『偽りの仮面』にもその辺りは期待していたのですが、ハクの正体柄みで多少触れたものの深入りはしないままトゥスクル侵攻やヤマト内乱に移ってしまい、正直消化不良に感じてました。

今回は実は生きていた帝との対面以降、旧人類のテクノロジーに翻弄される展開が続き大満足!
前作最大の疑問であったヤマトのトゥスクル侵攻についても、
・1作目でオンカミヤムカイ最奥部に侵入した際
 使われたリング=マスターキーの反応を感知していたこと
・旧人類の遺産を全て託せる存在であるハクが現れたこと
という理由が合わさってのことだったと判明しスッキリ。
とはいえまさか、死闘の末取り戻したヤマトの都にアマテラスレーザーをぶち込むことになるとは思いませんでしたが…。

現人類として、本能的に旧人類の呪縛から逃れようとしていたライコウ。
揺り籠から解き放たれたいという意志は、帝が現人類の頂点としてアンジュに全てを託そうとしていたことと一致する想いであったはず。
文明が滅んで移り変わるにあたり、”大いなる父”から亜人間たちはどのように巣立っていくのか…『うたわれるもの』の世界観を活かした、ロマンのある展開だったと思います。

ストーリー面について(4)
〜二人の白皇というキーワード〜

対立軸が多数あったため、シンプルなタイトルに色々と考えさせられる。

クオンとアンジュ
ラストカットにもあるように、結局は二国の和平の証として、また未来の担い手として”白皇”を襲名したという落とし所。
ウィツァルネミテアの直系であるクオンと、帝の肝いりである頂上生命体アンジュ、二人の決闘シーンは熱いっちゃ熱いんだけど、シチュエーションとしては女の子が二人殴り合ってるという状況で…映像化されたらそんなこと言ってられないくらい戦闘民族バトルに仕上がるのだろうか、スパーキン

アンジュの仲間入りという報を見たときは面食らいましたが、戦力たる理由付けはしっかりしていましたし、行く先々についてくるのは「まあアンジュだし」という感じだし、何よりクオンと張り合いながら成長していくのは見ていて気分が良かったです。
ウォシス戦後の「オジちゃん」はずるい、ただでさえ涙腺限界なところをトドメさされた

ウォシスとハク
旧人類の遺児としてその遺産を振るおうとしたウォシス。
帝が煮え切らない態度なのがずっと疑問でしたが、まさか帝のクローンだったとは。
遺伝子上はハクとも兄弟ってことになるんですか…?似てねぇ。

ウォシスは帝が作った仮面のオリジナルの力でウィツァルネミテアの紛い物のような存在になった一方で、ハクは正真正銘の旧人類な上に、最終的にハクオロの座を奪い取ってウィツアルネミテアそのものになってしまった。
姿を偽り続けていたハクがあらゆる意味で正統な存在に辿り着いたのに対し、何から何まで紛い物になってしまったウォシス。
だが、帝とホノカから彼が受けた愛情は本物であったはず。
愛情や忠義を理解し受け入れてしまったがために、暴走してしまったのが切ない。

ハクとハクオロ
ウィツアルネミテアとして並び立ったわけではないので対立軸かと言われれば微妙だけれど、要は新旧主人公のお二人。
最後の最後に偽りの仮面は真実の仮面に、旧時代の生存者は新たな大神に、そしてハクオロさんは人間堕ち。
なんというか、『うたわれるもの』という完成された作品の風呂敷をさらに広げて、きっちり包括して畳み切った見事なオチだと思います。
ウィツアルネミテアとして封印されている人間がいることには変わりないんだけど、どうもラストのクオンとの邂逅を見るに、ハクさん大神としての適性高くてどうとでもなっちゃいそうな勢い。
実に希望のある終わり方だったと思います。

しかし水戸黄門オマージュの帝同様に、諸国巡りして世直しするアンジュに爆笑。
クオンはクオンでハク求めて放浪してるし、大丈夫か二人の白皇

 

ということで、まごうことなき『うたわれるもの』続編でした。
『偽りの仮面』が布石と試金石の塊と言える位置付けなので困ったものですが、ぜひ両作合わせて触れていただきたい。
今なら『偽りの仮面』・『二人の白皇』セットで続けてプレイするのがベストだと思わなくも無いですが…将来的にはダブルパックとかあるといい気がします。

アニメでも完結編までやって欲しいのですが、主役のお二人の事情もあるのでしばらくは難しいのかな…復帰の目処が立った暁には期待したいところ。
むしろアニメしか観てない方はゲームもやっていただきたい、ぜひに。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です